2011/04/30

月とチャリ

言葉に忠実なサトウ氏は不要になった自転車を分解することにした。

「自転車を分解、自転車を分解・・・」

呪文のようにひとりごちながら分解に取り掛かった。

まず前輪と後輪を取り外した。

次にサドルを取り外そうとしたが、サトウ氏は手を止めた。

先ほどまで自転車だと規定していたものは、もう目の前になかったからだ。

両輪を失った、なんと呼べば良いかわからない鉄屑の前で、

サトウ氏はしばらく立ち尽くした。あわわわわ。

困ったらスタート地点に帰ればいい。

気を取り直して両輪を元に戻した。

「自転車を分解、自転車を分解・・・」

目の前にある言葉通りの自転車に安心し、また分解に取り掛かった。

今回はまずサドルを取り外した。

「自転車を分解、自転車を分解・・・」

うむ、自転車だ。まだ自転車だ。

次にハンドルを取り外した。

「自転車を分解、自転車を・・・」

なんなんだこれは、とサトウ氏は思った。

両輪を持つカラクリ式の鉄の棒じゃないか。

私は自転車を分解していたのだ。

とりあえずサドルとハンドルを元に戻し、自転車を完成させた。

月明かりに照らされる自転車を眺めながら、サトウ氏はふと思った。

月は満月でも半月でも三日月でも月なのに、

自転車はなぜ、どこかが欠けると自転車ではなくなるのだろう。

どこまでが自転車で、どこからが自転車ではなくなるのだろう。

いつまでも分解できない自転車の前でサトウ氏は、

いつまでも途方に暮れていた。

2011/04/29

ね。

ハイチューっていい名前だよね。

チューハイっていい名前だよね。

チューカ

こんなに油っぽいのに、太らない。

姉さんは、ずるい。

2011/04/27

サラリーマン手記④

だからといって、不思議なことが毎日起こるわけではありません。

なにかあるではないかとカメラを持って歩いているようなときには、

まずなにも起こりません。

それは、こちらが油断しているのを見計らっているかのようなタイミングでやってきます。

例えば、今日の昼飯はなににしようかななどと考えているようなときなどに。

ちなみに、今日の昼飯は沖縄料理にしようと思っています。

ゴーヤチャンプル定食か、ソーキそば定食にするつもりです。

なぜかって?

体に良さそうだからです。

(続く)

ポップなコーンみたいに

映画館で映画をひとりで見れない症候群にかかってしまった僕は、

映画館に行くときはたいてい誰かを誘うようにしている。

観たい映画があるけど、観に行く人がいないから。

という理由でDVDを待つことになることもしばしばなんだけど。

症候群はなかなか手強い。

想像してみてほしい。

「息もできない」をひとりで観にいったら、ほんとに息ができなくなりそうだし。

「婚前特急」をひとりで観にいったら、帰り道がすごくもったいない気がするし。

ふたりで観にいくと、その人のことがよくわかるし。

映画の観方とか感想とかって箸の持ち方くらいその人を象徴するというか。

それだけでいろいろ書けそうなんだけど、

エンドロールを観ないで帰るのだけはどうか勘弁してください10年の恋も冷めます。

100年の恋は…

2011/04/26

白昼堂々グラサン

あらかじめ用意された空席に

あんたは安心して腰掛ける

あんたのせいで満席だ

あらかじめ用意しておいたチロルチョコ1つ分の優しさで

あんたの為に僕はこう言う

あんたねぇここはあんたの為の空席じゃないんだ

あしたになったってここは

あんたの席じゃない

あんたのせいでその素敵な椅子が全然見えない

あきらめて客席に座っておくれよ

あんたはとんでもない勘違いをしている

「あさって来てくれるかな?」

「ああ、いいとも。」

2011/04/24

花屋の女の子も好き

パン屋さんで働く女の子に恋をした場合。

さて、どうしたらよいのだろう。

きっとあの娘はあまり淋しがり屋じゃない。

紛れもなくパン屋なのだ。

簡単に思いつく方法として、

毎日同じ時間にお店に行き、クロワッサンを買うというものがある。

それを1年間ぐらい休まず続ければ、あの娘だってクロワッサン1つ分くらいの好意を寄せてくれるかもしれない。

もちろん僕のあだ名はクロワッサンになるだろう。

「あ、クロワッサンがまた来たよ。」とささやかれることは覚悟しておいたほうがいい。

そしてあだ名が決定したころに、あえてあんぱんを買うのだ。

「クロワッサンがあんぱんを買っただと・・・」

レジであの娘は動揺するだろう。

震えるあの娘の手を握り、僕はこう言う。

「ほんとはあんぱんが好きです。でも君のことはもーっと好きです。」

目を閉じて、僕は祈る。

その時、店内のテーブルに腰掛けていた男たちが一斉に立ち上がり叫ぶ。

「ちょっと待ったー!」

彼らのあだ名がそれぞれカレーパン、食パン、ジャム、チーズであることを知ったのはずっと後のことだ。

しょうがないさ。

なんてったってあの娘は町いちばんの美人だ。

だからパン屋さんで働く女の子に恋した場合。

あきらめてこの町を去る準備をしたほうがいい。

そして次の町でまたパン屋さんを見つければいいのさ。

サラリーマン手記③

その日からです。

私の身の周りに、ほんの少しだけですが、不思議なことが起こりはじめたのは。

いや、今から思えば、不思議ではなく、あらかじめ用意されていたことなのかもしれません。

(続く)

2011/04/23

世界でひとつ

兄弟は、兄弟をやめられない。


兄弟ってなんなんだろう。

近すぎて遠いし、遠すぎて近い。

この関係性は、まだうまく言葉にできない。

ザ・ファイター」を観て。

2011/04/21

すぐにいくから

デートに遅刻するのはいつも僕のほうだった。

待ち合わせ場所に着くと、彼女はいない。

メールが入っている。

「いつもの喫茶店。もうコーヒー二杯目。」

窓から海の見える小さな喫茶店だった。

息を切らしながら喫茶店のドアを開くと、いつもの席にいつもの背中がある。

だいたい寝坊だったのだけれど、電車の中で用意しておいた言い訳をする。

その度に彼女は、コーヒーを飲みながら用意したであろう微笑みで僕を許した。

通算100回目の言い訳を喫茶店でしたときだったと思う。

彼女もうんざりしたのだろう。

別れることになった。

自業自得だった。

「自業自得」って何ですかと聞かれたら、ああそれはこういうことですよと示すいい例になるような自業自得だった。

僕の人生に幸せと呼ぶことができる時期があるとすれば、

彼女と過ごした喫茶店での日々だったんじゃないかと今は思う。



彼女と別れて10年経っていた。

久しぶりに郵便受けを開けると、大量のダイレクトメールと1通の手紙が届いていた。

彼女の筆跡だとすぐにわかった。

「いつもの喫茶店。もうコーヒー飲めないよ。」

僕はあの喫茶店に向かった。僕のことをまだ覚えていてくれたことがうれしかった。

懐かしい電車に乗り、懐かしいあの町に急いだ。

結論から言うと、喫茶店はなくなっていた。

あれから10年だ。

10年という時間はたくさんのものを運んでくるし、たくさんのものを奪い去っていく。

でも彼女はそこで待っていた。

そこは彼女のお気に入りの場所だった。

だから彼女は自分のお墓をそこに建てたのだろう。

墓石にはこう刻まれていた。

「さきにいって待ってるね。」

僕は通算101回目の言い訳を考えながら海を眺めた。

サラリーマン手記

日常生活でもとくに話すネタのないような私が、

手記など書けるはずがありません。

しかし、ただひとつだけ言えるとするならば、上司には2種類いるということです。

部下の余計なストレスを取り除いて働きやすい環境にしてくれる上司と、

部下の余計なストレスになる上司です。

(続く)

2011/04/20

2011/04/19

ああ。

いい映画と、いい小説と、いい友がいたら。

それだけで人生はうまくいく気がする。

気の合う相方がいたら、もっとうまくいくよ。きっと。

ぐるりのこと。を観て、そんなことを思った。

ありがとう。

うわのそら書房からのお知らせ

うわのそら書房ではいくつかの本を出版している。

今宵紹介するのは、2015年に出版された

『丸めて捨てられてしまった言葉たち』(著:ポンピドゥン伯爵)である。

著者であるポンピドゥン氏はサンドイッチ伯爵のトランプ遊びに10時間付き合わされたであるとか、

ガリレオ・ガリレイ氏が「それでも地球は回っている」とつぶやいた際、リツイートして非難を浴びたであるとか、

ピサのドゥオモ広場の塔に寄りかかって斜めにしてしまったであるとか、

聖徳太子に話しかけていた10人の内の1人であるとか、様々な噂のある人物である。

この本には、彼の名言(らしきもの)が残されている。

以下抜粋

「タコとかイカってのは、地球侵略に失敗した火星人の成れの果てだよね。」

「年上のくせに生意気な奴だな、おまえは。」

「吾輩は猫であるって書き出しで小説を書いたら面白いんじゃないかな。」

「あなたの存在ほど重く、わたしの心を軽くするものはない。」

「俺だけ半袖で恥ずかしいじゃないか。」

などである。

彼はこうも書いている。

「世の中には2種類の人間がいる。落ち込んだとき、天を仰ぐ人間と地に目を伏せ、うつむく人間だ。まあどっちもやっちゃう人間もいるんだけどね。」

僕はこの本を読み終わって、天を仰ぎ、地に目を伏せ、うつむいた。

長くあまりにも長く生きてきたのに報われない人だ。

この本はポンピドゥン氏の自宅前に燃えるゴミとして出されていた紙くずをうわのそら書房が編纂し出版したものである。

うわのそら書房は地球と報われない人にやさしいのだ。

万が一興味のわいた方はうわのそら書房までご連絡を。

2011/04/18

消された透明人間

2018年1月

ある製薬会社が細胞透明化薬、いわゆる透明人間になることができる薬を開発し、無料で個人宅あてに送付し始めた。

副作用なし、個人差はあるがその効果は約5カ月継続するとのことであった。

だれもが1度は抱いた夢の薬である。

人々はこれを服用し、日本人の大半、世界の人口の大半は透明人間となった。

日本政府野党は犯罪防止のため赤外線ゴーグルの無料配布を訴えたが、与党はこれを良しとしなかった。

同年1月

日本及び世界各国は深刻な食糧危機に陥っていた。

しかし同年7月

この事態は何もなかったかのように収束に向かい、食糧需給率は安定した。

同年6月

日本及び世界各国の各地に大きな大きな穴が掘られ、10日後に埋められた。

映像を見る限り、ただ穴を掘って埋めただけだった。

世の中には不思議なことがあるものだねと声を震わせながら非透明人間たちは言った。

2011/04/16

劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ

宮崎あおい的キラメキ発見映画。

★★☆☆☆

刺さる人と、刺さらない人の差が激しいと思う。

ロンゲスト・ヤード(リメイク版)

この世の中に、根っこから悪い人なんているのかな。

★★★☆☆

痛快です。
スカッとします。
楽しい。
でも彼らは囚人なんだね。

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ひとこと映画、はじめます。

観た映画を、ひとこと(ふたこと)で感想を言う。

ただそれだけです。

みんなのひとことも聞けるといいなと。

たいへんよく疲れました

なあ兄弟、

俺が最初に叶えたお願いって何だったと思う。

「光あれ。」なんだよ。こうして、光があったんだ。

創世記に書いてあるあれな。

神様からのお願いだったから、いささか苦労はしたけど叶えてやったよ。

あれから人間が生まれてさ、うんざりするくらいたくさんのお願いを叶えてきた。

どこの馬の骨かわからないやつのどんなにくだらないお願いだって叶えてきた。

俺は随分献身的だったと思う。

その代わりにってわけじゃないんだけどさ、

三つ目のお願いでいい

三つ目のお願いでいいから

もしあんたが次に魔法のランプを拾ったら

こうお願いしてほしいんだ。

「ランプの魔人さん、死んでください。」って。

俺は喜んでそのお願いを叶えるよ。

もう疲れたんだ。

ごく控えめに言っても疲れすぎている。

あんたらの欲望は絶対に尽きない。終わりがないってのは地獄だよ。

いままで誰も俺の願いなんて聞いてくれなかった。

そんな気の利いた想像力豊かな人間なんていなかったんだ。

だから頼むよ、三つ目のお願いでいいからさ。

なあ兄弟。

2011/04/15

おもいつき短歌

焼きそばかかけうどんかで迷ったら振り返らずに焼きうどん食え

2011/04/14

扉を前にして

一方的にアプローチをかけて、
大好きオーラを出しまくるといった事が必要と思います。
それしかないです。
器用なことは、器用な人がすればいいと思います。


後輩の恋愛観。

このメールを見たとき、パソコンを前にして、かたまってしまった。

ぼくには扉を前にして、ノックしつづける勇気がまだ、ない。

2011/04/13

エキカップル

なんで改札の近くで喧嘩するんだろう。

なんで改札の近くでいちゃいちゃするんだろう。

改札のこちら側とむこう側では世界が違うから、

そこをまたぐ時は感情が表にでやすいのかな。

あるバナナ好きの憂鬱

欲しいものがあれば奪ってでも手に入れてきた。

相手を裏切ること、欺くことに思考を総動員してきた。

じゃないと生き残れなかった。そういう環境、集団で育ってきたのだ。

だからこの集団から一歩外に出れば、自分の評判が最低最悪であることは当たり前だった。

「悪事は千里を走る」

もちろんあいつの耳にも俺の悪い噂(ほぼ事実)は届いているはずだった。

なのにあいつは俺を信じた。俺の言うことをすんなりと信じたんだ、クソったれめ。

あいつは相手を疑うことを知らなかった。

正直戸惑った。

俺は相手を疑うことしか知らなかったからだ。

「すべてを疑え」

その言葉だけを信じてきた。

変われるかもしれない。あいつと出会ってそう思った。

でも変わるのは怖かった。

だから試すつもりだった。

あいつを傷付け、それでも俺を信じてくれたなら、変わろうと決意できる気がした。

そういう方法しか思いつかなかった。

あいつが俺を頼ってくれた時、ここだなと思った。

俺はあいつを故意に傷付けた。

殺意なんてこれっぽちもなかった。

でも手加減を知らなっかった俺はあいつを殺してしまったのだ。

事故だったと言っても誰も信じてくれないだろう。

傷害致死、業務上過失致死、罪状なんてどうでもよかった。

この命で償おうと思った。

あいつにはたった1人の息子がいたはずだ。

その息子に連絡し、住所を教え、家に呼んだ。

謝罪のためではない、殺してもらうためだ。

次の日、あいつの息子は仲間を引き連れてやってきた。

あまり記憶にないが、栗、臼、蜂だったと思う。牛糞もいたか。

彼らの攻撃をあるがままに受け入れた。

これで償いになるだろうか。あっちであいつに会ったら仲良くできるかな。

でも俺は地獄行きだな。天国にいるあいつには会えないのかな。

そんなことを考えながら、俺の意識は途絶えた。




しかし俺は生きていた。悲しいほどに生きてしまっていた。

意識が途絶える瞬間、

「やめろ、もう充分だ。」

たしかにそう聞こえた。

やっぱりあいつの息子だ。カニ一族は慈悲深いのだ、クソったれめ。

俺は初めて泣いた。声をあげて泣いた。涙が枯れるまで泣いた。

あいつの息子が俺を殺さなかったことが悲しかった。

自らの手で命を絶つことも考えたが、そんな勇気はなかった。




ある日途方に暮れていた俺のもとに知らせが届いた。

とある男が戦地に向かうため傭兵を募集しているとのことだった。

最後のチャンスかもしれない。死ぬチャンスだ。

だから俺はあのクソまずい団子と引き換えに戦地に赴いたのだ。

同じ部隊だったキジも犬も動物園にいる象のような悲しい目をしていた。

クソまずい団子に命を託す理由があったのかもしれない。聞く気にはなれなかった。

この戦争の顛末をあんたたちは知っているだろう。

やっぱり死ねなかったんだ。




あれから5年経った。

俺は未だに死ねず、旅を続けている。俺を終わらせるための旅だ。

お坊さん、河童、豚とともに。

この旅の顛末もあんたたちは知ってるんだろうな。

「憎まれっ子世に憚る」って

ありゃホントだ、笑っちゃうよな、クソったれめ。

2011/04/12

昔部

この前、偉いこと長く付き合ってた昔の彼女とお茶をした。

タイムマシンを信じた。


この記事はよかった↓
元彼女と旅行してきた

廃部決定のお知らせ

通信手段の発達、コミュ二ケーション手段の多様化により

体育館裏での告白は減少傾向にあり、

体育館裏監視部の必要性については以前から疑問の声があがっていた。

我々は審議に審議を重ね今回の廃部決定に至った次第である。

今後の対応として監視カメラの設置などを検討している。

その他

うさぎ跳び部、席替え裏工作部、人体模型名付け部

近隣女子校調査部、リコーダー部、理科室の水道水がぶ飲み部

についても廃部の方向で検討しているのでそのつもりで。

以上

2011年4月12日

部活動管理部

2011/04/11

禁酒日記『きょうも飲まなかった。』改め、        飲酒日記『ぼくはこんな酒を飲んできた。』

7日間の禁酒を達成し、そのまましばらく禁酒を続けるとにおわせながら、さっそく飲みました。

飲みましたというより、かなり飲みました。

たとえるなら、1軍出場選手登録即完封勝利みたいな感じでしょうか。

禁酒解禁即泥酔みたいな。

それでは。

おもいつき短歌

ドーナッツの穴のような空白が私たちにも必要なのよ

本日のコーヒー

百年前僕はここにいなかったし、

百年後僕はここにいない

それは君も同様だ

そう考えるといま君とこうしてテーブルを挟んで

他愛もない話ができることは

奇跡みたいなこと

だからいまというこの時間をないがしろにしちゃダメだよなぁ

ということを考えていると

いまの話聞いてた?って怒られちゃうんだよなぁ

正直にいうと全然聞いてなかったんだよなぁ

(きのを)

2011/04/10

禁酒日記『きょうも飲まなかった。(7日目)』

目標であった7日連続禁酒をどうにか達成しました。

この日記がなければ、途中でやめていたと思います。

よかった。

これでひとまず禁酒は終わりにします。

ただし、連続記録はつづくところまで続けます。

次の目標は、『次の飲み会まで飲まない』

ふたり以上で飲むなら、飲み会とみなしましょう。

健康的な春

買い出し。

お酒やチューハイをふくろいっぱいに買って両手に持つ。

ビニールが手にくいこむ。

このお酒たちが数時間後には空になる。

こんなに重いのに。みんなの中に消える。

みんな酔っぱらって空になる。

この重みがすごく意味のあることに思えてきた花見の日今日。

春の日の葛藤。

きょう飲まなければ、目標だった7日連続禁酒を達成します。

しかし、本当にそれでいいのでしょうか。

家にこもって本を読んでいるより、

桜の下でビールを飲むほうがはるかに健康的ではないでしょうか。

江夏の9者連続三振は確かにすごいけど、

9人目のバッターになぜかカーブを投げて、

8連続で終わってしまった江川もまた伝説ではないでしょうか。

記録より記憶に残る。そんな生き方もいい。


さあ、どうする?

ちいさいうそ

雑誌をパラパラ。意味もなくパラパラ。

アイドルの一問一答。

ふと目にとまった言葉。

 10年後
 25歳か~おいしいものを
 たくさん食べてるだろうなぁ~

25歳。いまの自分だ。

10年後…

ということはこの大型新人と書かれている女の子は15歳だ。

こんな大人びてるのに15歳…くらくらする。

 かわいいウソなら許します。

かわいいウソ…!?

なんだそれは。

どんなウソだ。

ごめん、きょうダメだ。急に仕事が入っちゃって。

これはふつうのウソ。

というか、このキラキラした女の子も、

かわいくないであろうウソをつかれて傷ついたことがあるのか。

たいていの男がコロっといってしまいそうな満面の笑みが、

きゅうに意味深に見えてきた。

 夢
 グラマラスな人になること


胸に目がいってしまった僕を許してくれ。

そういえば今日、ツイッターで相方と僕が言っているのを、

ずっと彼女のことだと思ってる子がいた。単語選びは気をつけよう。

2011/04/09

おもいつき短歌

モーニングコーヒー冷めて夕方になったら私ここを出てゆく

禁酒日記『きょうも飲まなかった。(6日目)』

7日連続禁酒をするためには、必ず土日を乗り越えなければならない。

よし、成功。

あと1日だ。

禁酒日記『きょうも飲まなかった。(5日目)』

金曜日まで禁酒する意味。

それは、この日記を書くため。

ありがとう。順調です。

新郎は誓いのキスをした。

永遠のお別れを誓うキスだ。

この物語はこれで終わる(終わらせる)わけだが、

新郎がこの式場から逃げなければこの物語を終わらせることができない。

こんなに幸せなのに、理不尽じゃないかと新郎は思うかもしれない。

その通りだ。物語の世界はもれなく理不尽なのだ。

キスをした後、新郎は走った(走らされた)。

何かから逃げているのか、あるいは何かを追っているのか、新郎にはわからなかった。

式場から飛び出し、ただひたすらに走った。

走って走って走り疲れた新郎は自らの意志で足を止める。

目の前の横断歩道を渡り切れば、また理不尽に走らされるのだろう。

新郎は両手をポケットにつっこみ、一歩一歩これが自らの意志であることを確認しながら噛みしめるように歩いた。

式場の支配人である男は、ようやく新郎のもとに辿り着き、声をかけようと彼の後ろを歩いた。

栄光ある怪盗一族の四世である男は、ようやく式場の支配人である男のもとに辿り着き、悟られぬよう彼の後ろを歩いた。

死ぬきっかけを奪われた男は、ようやく栄光ある怪盗一族の四世である男のもとに辿り着き、殴り倒してやろうと彼の後ろを歩いた。

はい、ここまで。僕が語ることができるのはここまでだ。

彼らがこれからどのような運命を辿るのか。

それはわからない。

そして、横断歩道に並んだこの4人の光景を、誰がどのようにしてどんな目的で写真に収め、1969年9月26日にリリースされたビートルズのアルバムジャケットを飾ることになったのか。

2011年4月9日現在の僕にも全くわからないのである。

(完)

2011/04/08

禁じ手

「あなたの大事にしている価値観を書いてください」

僕は会社の人事というところにいたので、研修をたくさん受けていた。

正確には、研修を運営する立場なので、研修を受ける先輩たちを見守るのだ。

一年目なのに。

冒頭の一言は、ちょうど7年目研修の時、講師が発した言葉。

大事にしているモノ・コトを再確認しようというテーマだった。

当然、僕は見守る立場だから、うしろから、ちらっ、ちらっと。

先輩たちが何を書いているのかわかる。

ある一人の女性が「さとし」とカードに記入していた。

そりゃもう、入社7年目だ。

もう結婚されて、子どもがいらっしゃるのだろうと僕は思った。

講師もそう思ったのだろう。

「このさとしって、お子さんですか?」

『あっ、彼氏です。』

「そ、そうですか」

普段は冷静な講師の方もちょっと驚いた顔をしていた。僕も驚く。

書くのか。大事なのか。やっぱり。書くほど。そうか。いや書くか。どんな彼氏だよ。

気が遠くなりそうだ。

この研修は、最終的にカードを選んでいって、

最後には一番大事なものを選ばなければならない。

一番大事なものだ。この世の中で。

その時の僕と講師のこの世の中での関心は、間違いなくひとつだった。

さとしはどうなる。

最後の2枚。

「さとし」は残っている!

もう1枚。

「キャリアアップ」そこか!さすがキャリアウーマン!

さぁ、どちらを選ぶ。

ここまできたら頼むよ。選んであげてよ。

その瞬間、僕はもうさとしだった。

顔も、苗字も、年齢も知らない、先輩かもしれない、さとしだ。

頼む。頼む。頼む。

「あ、」

呆気ないくらい、すとんと、捨てられてしまった。

「い、い、いいんですか?」講師。

『なにがですか?』

「え・・・」


さとしさんが、いまも彼女とつづいてますように。

自由。

禁酒というから、禁を破りたくなる。

お酒以外、なにをしてもいい。

自由だ。

ダイエットのことも忘れろ。


俺は居酒屋に入り、ウーロン茶を注文した。

禁酒する意味。

金曜日に飲むためにがんばってきたのではないのか。

今週一週間は何のためにあったのか。

そこまでして禁酒を続ける意味があるのか。


答えはまだ見つかっていない。

父の葬式が終わったら、この業界から足を洗い、

あっさりドライクリーニングの運搬車にでも轢かれて死のうと男は決めていた。

父は栄光ある怪盗一族の三世であった。

四世である自分が詐欺容疑ですんなりと逮捕され、一族の名を汚してしまうとは父も思っていなかっただろう。

出所したその日の午後に父の葬儀が行われることを、侍のような格好をした老人から聞いた。

そうか、スーツが必要だなと思った。

最後ぐらいきちんとした身なりで物言わぬ父に懺悔するべきなのだ。

しかし怪盗であるこの男の友人はもれなく皆怪盗であるため、刑務所から出てきたときにはもう自宅ごとなくなっていたのだ。

もちろんスーツだってない。

仕方がなく男は、いささか乱暴な方法ではあったがスーツを調達した。

ボロボロのパーカーとジーンズとコンバースは公園のトイレに放置し、スーツに裸足という格好でベンチに腰掛けた。

スーツにコンバース?ナンセンスだ。

裸足のほうがまだいい。

照りつける太陽をにらみながら、男は革靴の調達方法を考えていた。

目の前を白いスーツの男が走り去った。

何だろうと眺めていると、

その数秒後、黒いスーツに身を包んだ男がぜいぜい言いながら走り去った。

奇跡とはこのことかと男は思った。

追う者には面白いほど隙ができるということを男はこれまでの経験から学んでいた。

あの革靴をいただこう。

スーツのついでに拝借した煙草に火をつけ、煙で肺を満たした。

そして吐き出し終わると同時に、男は走った。

その煙草の本来の持ち主が数メートル後方まで迫って来ていることなど全く気が付かなかった。

追う者には面白いほど隙ができるのだ。

(つづく予定)

わからない免罪符

唐突だった。 

「おっ!久しぶりー!」


ホームで電車を待っている時。


カーキのジャケットに身を包んだ男性に声を掛けられた。 

(え、誰だ。君は。どこかで見たことはある。多分、高校の時の知り合いだ。多分。 

とりあえずここは話を合わせよう。 

『おっ、おっ、おう!』 

内心の動揺を悟られないように、余裕のある対応を。できていない。
 
ちょうどそのタイミングでホームに電車が入って来たので、ふたりで乗りこむ。 

「久しぶりだね。最近どうよ」と、彼。 

『おう、まぁまぁだよ。何とか社会人で頑張ってるよ』 と、僕。

可もなく不可もなくの答えで凌ぐ。 

彼は仮面浪人をしていたらしく、まだ大学生らしい。 

日頃鍛えたその場しのぎ相槌で対応。 

電車がじょじょにスピードを落としていく。


目的の駅にすべりこんでいく。

「ところで、今からどこいくの?」と、彼に聞かれる。 

『駅の近くにあるスポーツジムだよ』僕が答えると同時に、ドアが開く。 

「あー、そこが職場ね、なるほどね」 



正直、動揺した。 確かに見た目的にそうだけども。

『あ、いや…』 

プシュー…無情にも閉まるドア。 動き出す電車。

ドアの向こうで手を振る彼。 軽くガッツポーズをしている。


あれは間違いない、がんばってねポーズだ。

僕は、スポーツジムの人になってしまった。 

その日、ジムのトレーナーさんにやけに目がいってしまった。


あれは彼の中の僕だ。

2011/04/07

禁酒日記『きょうも飲まなかった。(4日目)』

もう木曜日だから飲んでもいいかなって思ったけど、

まだ3日しか禁酒してないことに気づいてやめた。

めだたし。

今月も赤字で終わったらこの式場に火をつけ、

あっさりこめかみを打ち抜いて死のうと男は決めていた。

結婚式場の支配人である男は、もう何人も従業員を解雇した。

彼ら彼女らにも家庭があり、暮らしがあったのだ。

いくつかの人生を狂わせてしまっただろうと思う。

自分が死ぬことによってそれが免罪符になるとは思わない。

でもどうしようもなかったんだなということは伝わるかもしれない。

銃を点検し、引出しにしまう。

その時、ノックもなしに従業員が入ってきた。

「新郎が逃げました」

シンロウガニゲマシタ

その言葉を理解し、状況を把握する。

神の無慈悲さを呪う。

今日行われている結婚式の代金はまだもらってない。

その代金にはこの式場の経営と自分の命がかかっている。

この結婚式を失敗に終わらせるわけにはいかない。

式場を飛び出し、男は走る。

角を曲がると、遠くに新郎が見えた。白いスーツが小さく見える。

日頃の運動不足がたたってか、足はもつれ、息は切れる。

でも逃がしてしまうわけにはいかない。

立ち止り、汗をぬぐう。

深呼吸をし、男は走った。

(つづく予定)

2011/04/06

「・・・・・」

高校2年の冬。

体育でやった柔道で投げられて頭を打ち、僕は軽い脳震盪を起こした。

念のためにと行った病院で診てくれた初老の医者は、
川端康成のようないかにも鋭く、冗談のひとつも言いそうにないタイプだった。

いくつかの検査をして、結果は問題なし。

念のためとはいえ少しドキドキしていた僕は、結果を聞いて安心したのか
医者に軽口を叩いた。

「頭打っちゃったから、もう東大いけなくなっちゃいまいたよー。へへへ」


「・・・・・」


医者はカルテを書いていて、なにも答えない。

「・・・・・」

しまった、怒らせたか。

続く沈黙。


耐えられず、さっきの言葉はもうなかったことにしようと思ったそのとき、

医者はカルテから目を離し、僕を見つめて言った。


「まあ、東大がダメでも京大があるから」


やられた。
医者にやられた。

医者の沈黙にやられた。

いわゆる「間」がなによりも大切だと知った。


きょうのあなたの言葉

「・・・・・」 by医者

禁酒日記『きょうも飲まなかった。(3日目)』

禁酒をはじめるとよく部長から飲みに誘われるんだけど、

今日は断ったよ。

そして、オールフリー。

しかし、禁酒はここからが本番。

週末が来るからね。

がんばれ!

マッチみたいな言葉

目標はある方がいい。は当たり前。

目標は大きい方がいい。も当たり前か。

目標があるならそれを話した方がいい。行動につながるもんね。

そして昨日は、

友が目標を話すことは、嬉しいことなのだと気づいた。

「ほぼ日くらいいろいろやろう。」

自称コピーライターは、熱いことさりげなく言う。

「ほぼ日くらいいろいろやろう。」

やろう。

最後の一本を吸い終わったらスーツに着替え、

あっさり手首でも切って死のうと男は決めていた。

仕事を失い、妻と子供も失った。

シャツとスーツを枕元に置き、ベッドの端に腰かけた。

これまでの人生をゆっくりと思い出してみる。ゆっくりと走馬灯を見ているような気分だった。

ポケットを探り、マッチを擦る。

その瞬間窓ガラスが大きな音を立てて割れた。

それからのことはあまり記憶にない。

見知らぬ男に突き飛ばされ、気付いた時にはスーツと最後の煙草はなくなっていた。

わけがわからないと思ったが、自分が取るべき行動はすぐにわかった。

通報することなど思いつきもしなかった。

全てを失ったのだ、死ぬきっかけだけは失うわけにはいかない。

深呼吸をし、男は走った。

(つづく予定)

2011/04/05

禁酒日記『きょうも飲まなかった。(2日目)』

二日なんて余裕かと思ったけど、

会社から帰るとき、ちょっと飲みたくなった。

あぶなかったぜ。

踏まないイコール

割り算ができない。

とても簡単な割り算ができない。

大学生の時はいとも簡単にできていたのに。

社会人になった途端できなくなった。

あの時の強気と勇気はなんだったんだろう。

ほんとうに簡単なことなのだ。

数字を見たら、÷6か、÷8をすればいい。

そして答えを高らかに宣言をすればいい。

なんなら電卓を使ってもいいのだ。

中学生だってできる。

いや、小学生だってできる。

いちばんむつかしいのは÷2だ。

どうしようどうしようどうしようと逡巡しているうちに。

なにかを出すそぶりなんて見せようもんなら。

よころんで割り算を放棄する俺。

これ、一回で。

ああ。

男というやつは。

足し算と引き算は得意なのに。

あなたの言葉

まともな小学六年生だった僕はよく山に登った。

土日祝日には10人ぐらい集まって意味もなく頂上まで歩くという行為を繰り返した。

山登りに対する僕らのめりこみ方たるや、ほぼ狂気に近いものだった。

登山道の入り口付近には小さな廃工場がある。

まともな小学六年生だった僕らはそこで誰が好きだとか誰が好きだとかそういうことばかり話していた。(それは今でもあまり変わらない。)

そろそろ登るかという時に1人の友人が「写ルンです」を取り出し、レンズを僕らひとりひとりに向けた。

修学旅行で使いきれなくてさとパシャパシャ撮っていた。

その次の週の金曜日だったように思う。

教室に入ると友人たちが僕の席の前で輪になっていた。

そしておはようもなしにこう言った。

「おまえの写真だけ霊が写ってるよ。」

廃工場の窓を背に僕ひとりが写っている写真だった。

その窓の右隅に顔があった。白い顔が。

それ以来僕らは山を去り、その山には近寄らなくなった。

「おまえの写真だけ霊が写ってるよ。」

今でも写真を撮られるたびにその言葉を思い出す。

写ルンですには写るんですね。

おもいつき短歌

「もしかして踏まないように歩いてる?」「ピンク踏んだら死んじゃうんだよ」

あなたの言葉

中学校3年生の冬。

クラスの仲間数人で映画を観に行った。

『ホームアローン2』

なぜこれにしたかは忘れてしまったが、みんなで話し合って決めたのだと思う。

もう映画の内容は細かく覚えていないし、ほかのことも全部忘れてしまった。


ただ、一緒に行った友達(コジマ)の言葉だけは、今も覚えている。


「俺は、あっちのほうがおもしろかったぜ」


あっち。

ホームアローン2のあとに2本立てのもう1本として上映されたジャッキー・チェンのカンフー映画。


それから数年後。
コジマはカンフーの修行のために中国に渡った。

久しぶりの同窓会で会ったコジマは、
相手を威嚇するというカンフーの発声法を習得していた。

低く、しゃがれた声。
相手の魂まで砕いてしまいそうな声。


同窓会のあいだ中、俺はコジマのその声に威嚇され続けた。


いや、俺が威嚇され続けていたのは、あの日のコジマの言葉にかもしれない。

~俺は、あっちのほうがおもしろかったぜ~

2011/04/04

おたんじょうびおめでとう

誕生日当日、ビリィ・ザ・キッドは解雇通知書を受け取った

「こういうことだから」

と冷たく吐き捨てビリィ・ザ・キッドの部屋を立ち去ろうとする社長の背中には

ビリィ・ザ・キッド的素早さで風穴があいたことは言うまでもないし

ビリィ・ザ・キッド的素早さで絶望したビリィ・ザ・キッドは

ビリィ・ザ・キッド的素早さで自らのこめかみを打ち抜いたことも言うまでもないことだ

これを書いている者として言えることがあるとすれば

このドッキリはビリィ・ザ・キッド的素早さで失敗に終わり

ドアの外で待つ全社員の心と

用意された特大サイズケーキのろうそくの灯を

2発の銃声が揺らしたと言うことだけだ

あなたの言葉

まいにちをちょっと注意ぶかく生きてみる。

そうすると、不意に、すごくドキッとする言葉に出会うことがある。

いわゆる刺さるってやつでしょうか。

それは、

飲み会でも。

メールでも。

本でも。

雑誌でも。

辞書でも。

電車の中でも。

いろいろなところで。時と場所を選ばず。

だれかが発した言葉が、自分の中に強く残る。

日々、ストックしてある言葉の中から、

「あなたの言葉」として書いていきたいと思う。


第1回は、
会社でのメールのやりとりから。



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すごい人の背中を見ているね。

そして弟子は師匠を超えるものだからね。楽しみです。

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同じ作業をしている先輩とのやり取りの中、
メールはふいにやってきた。
日々の仕事の中で、弱っている訳でも、
やる気をなくしている訳でもないんだけど、

メール読んだとき、かたまった。

もちろん励まそうと意図して、

その先輩は書いた訳ではないと思うんだけど、

この言葉はすごくすっと入ってきて、

がんばれと言われるより何倍もがんばろうと思えた。

禁酒日記『きょうも飲まなかった。(1日目)』

禁酒します。
まずは連続7日間が目標です。

いちにちちゃんと飲まずに過ごせたら、
ここに書いていこうと思います。

何日つづくかな。

がんばれ!

2011/04/03

おもいつき短歌

ガンディーの右ストレート見たというマザー・テレサ最初のつぶやき

きょうの料理

「塩きゅうり」

材料
きゅうり

ごま油

作り方
材料を全て混ぜる


いま浅草の飲み屋さんで出てきたけど、
とてもおいしいです。
ごま油+塩の組み合わせがレバ刺しと同じでいい。

家でも作ってみよう。

だれも助けに来ない

僕が君をどんなに愛しているかをここに書いておく。

例えば、僕らは森の中を歩いている。深い森だ。

君の前を歩く僕は、道しるべとしてフリスクを撒きながら歩いている。

ふと振り返ると君は口に大量のフリスクを詰め込み、その清涼感にやられて涙を流しながら歩いている。

きっと僕も泣くだろう。

道しるべを失ったことにではなく、君が泣いていることに涙するのだ。

フリスクを撒くのをやめ、ひたすら歩いている僕らは1軒の小屋を見つける。

もちろんお菓子の家なんかじゃない。

僕らはそこに住むことにする。帰り道はもうないのだ。

僕は毎朝君より早く起きて、近くの川を見張るだろう。

大きな桃が流れてきたら、大きな穴を掘って埋めるためだ。

傷ついた鶴も助けないし、いじめられている亀だって無視する。

ピカピカ光っている竹を見つけても切らないように心掛ける。

もちろん子供なんてつくらない。

その子供はおばあさんになった君を山に捨てに行こうとするだろうからだ。

このようにして僕は他の物語の介入を拒み続けるだろう。

どこかで聞いたようなめでたしめでたしなんてクソくらえだ。

僕らは2人だけで閉じられた世界に住むのだ。

そのくらい僕は君のことを愛している。

だから僕が君のことを食べてしまっても許してほしい。

かわいらしい赤ずきんの君を。

思いがけない返却

「じゃあコピーつけてよ」

コピーを書いているんです。と言うと、
そう言われることがある。
いや、けっこうある。
しかも聞いてくるのは決まって女の子だ。

「いやー、そんなそんな、あ、次のお酒どうする?」

たいていはそう言って、お茶を濁す。

この前なんてこうだ。

「この飲み会にコピーをつけるならどうします?」

おお。新しい。
その子はとてもまっすぐな目をしていて、
なんだか答えなきゃと思う。

真剣に考えて、

「来なくてもよかったかも」

もちろん軽い冗談のつもりだ。

そしたら、笑顔でその子は言った。

「じゃあ今からそれを変えましょうか」

まっすぐな目が、とてもキラキラしていた。

天使かもしれない。

2011/04/02

短歌

猛烈に、短歌が好きになりつつある。

いまはまだ、なにも知らなくて、

「短歌が好き」とか言えるレベルじゃないけど。



「嫁さんになれよ」だなんてカンチューハイ二本で言ってしまっていいの

俵 万智


すごい。

コピーだけじゃなくて、俳句や、短歌も、
これが好きだと言えるようになるといいな。

賢そうな小学生

小学1年生の頃「カラオケ」をずっと「カローケ」だと思っていた。

日記帳に「カローケ」のことを書いて提出した。

「きのうぼくは、家族といっしょにカローケにいきました・・・かくかくじかじか・・・」

いつも日記を先生に褒められていたのでわくわくしながらその返却を待っていた。

翌日返却された日記帳の先生のコメント欄には「カローケ」といういくつかの単語にアンダーラインが引かれ、

「カラオケのことかな?先生もカラオケは好きだよ。」

と書かれてあった。くらくらした。

恥ずかしさのあまりその場で溶けてしまいそうだった。カラオケだったのか・・・

他にどんな日記を書いたかはほとんど覚えていないが、これだけは鮮明に覚えている。

いくらか成長した僕にもまだこのような間違いが隠されているんだろうと思う。

誰かが指摘してくれるまでそれを背負って生きていくのだろう。

「カルフォルニア」が「カリフォルニア」だと気付いたのはごく最近のことだ。

赤外線で想いも伝わればいいのに

こういう晴れた日の土曜日の午後は、キスのことを考えるのに適している。

キスの最中、目をつむりながらこの娘はなにを考えているのかを。

ここで注意すべき点は焼きたてのドーナツのような幸せなことばかり考えても役に立たないということだ。

「最悪の状況を想定して、最善の策を練る。」

それがCIAだ。

彼女は、

「こいつの舌を噛み切ってやろう。5秒前、4、3、2、1・・・」

と考えているかもしれない。

そう考えるとほら、チャーミングな八重歯が凶器に見えてくるでしょう。

だからキスをするときは、命懸け。

それがCIAだ。

この空の下で

渋谷。

スクランブル交差点。

きょうは特別カップルが多い。

この空の下で。

人と人が出会って。

赤外線でお互いを知り。

はじまりのメールがあって。

初デートがあって。

電話したりして。

告白なんかしちゃったりして。

ドキドキとかして。

きみたちは手をつないでる訳だ。

この幸せものたちめ。

ひとりひとりのドラマを想像すると。

ああ。めまいがする。

かちん

冷やしトマトを焼く女がいて、怒ってしまった。

おとなげないとは思う。
まわりもひいていたよ。

でも、冷やしトマトは、冷やすものなのだ。

ちいさいけど、ゆずれないことがある。

おいおい!ちょっと!マヨネーズもダメだよ!

それでも、笑っているその子は、

どこか違う世界から来た女の子に違いない。

暇部活動報告(3/28~4/2)

3/28 会社を休んで寿司大の行列に並びました。

3/29 暇すぎたのでTBCのコピーを20本くらい書いてみました。

3/30 暇だったことしか覚えていません。

3/31 会社の飲み会でハッスルしました。

4/1  二日酔いのリハビリにあてました。

4/2  朝から暇なのでブログを書いてます。

役に立つ言葉。

役に立つ言葉であることがとても大切で、

でも役に立たない言葉も好きで、役に立たないと思ったら実は役に立つなんてのが

最高なんじゃないかと思います。逆にいちばんだめなのは

役に立ちそうな顔をしてまったく役に立たない言葉だと思うのですが、

このブログでは、

まったく役に立たななそうで、本当に役に立たない言葉を

目指して行きたいと思っています。

さて

なにかを書こうともう1時間くらい考えているんだけど、

なんにも思いつかない。

だから、とりあえず、おっぱいとだけ書いておくよ。

おっぱい。

2011/04/01

せめて木製であってほしい話

ピンポーン、ドンドンドン

すいませーん、いたいのですけどー、すいませーん、ドンドンドン。

イタイノ?

覗き穴は塞がれている。真っ暗だ。

どちら様ですか?

いたいのですー、飛んできたんですけどー。

飛んできた?はぁ・・・どこからですか?

あなたの妹さんからですー。

帰ってください。

いいんですかー?

帰れ。

ほかの人の所に飛んでいくことになるんですがいいんですかー?

かまわん。

生まれたばかりの赤ちゃんや入院中の老人の所に飛んでいくかもしれませんがいいんですかー?

むっ・・・ (いやはやどうしたものか・・・)

コンコン。

何ですか。

すみません、もう飛んでいかなくていいみたいです。

何でですか。

それは、あなたが心を痛めてくれたからです。

わたしはもう消えます。ありがとう、さようなら。シュワシュワシュワシュワ(サイダーみたいな音)

お、おい、いたいの。

僕はドアを開くと同時に側頭部に鈍痛を感じ気を失う。

「心の痛みだけじゃ、全然足りないんですよねー。」

気を失う瞬間、そう聞こえた。

置く所がない厚い本

あなたとわたしの間には2964ページ分の距離がある。

その間には恋とか結婚とか出産とか子育てとか葬式とか竜宮の乙姫の元結の切り外しと言う海草の名前まである。

しかし愛はない。あなたとわたしの間には愛がないのだ。

これはページのお話。

あなたとわたしの間には約7.5cmの距離しかない。

僕になると約6.5cm。俺になるともう約1cmしかない。近い、近すぎる。

これは紙の厚さのお話。


そしてこれらはどちらも広辞苑第六版のお話。


とここまで書いてみて後悔している。あまりにも気持ちわるい内容ではないか。ああごめんなさい。



ところで酔いすぎたいしがみは何もつぶやかないという話はまたの機会に。

ちょっとしたちがい

恋したい



愛したい


ちょっとしたちがいじゃないや。
えらいちがいでした。

はじまり

目を覚ますとスーツのままふとんに寝ていた。

気がつくと4月1日で、新しい学年はもうはじまっている。

このブログも今日から開始。

4月1日。
だから、ぜんぶ嘘かもしれない。
でも、たぶんこれは本当のこと。