パン屋さんで働く女の子に恋をした場合。
さて、どうしたらよいのだろう。
きっとあの娘はあまり淋しがり屋じゃない。
紛れもなくパン屋なのだ。
簡単に思いつく方法として、
毎日同じ時間にお店に行き、クロワッサンを買うというものがある。
それを1年間ぐらい休まず続ければ、あの娘だってクロワッサン1つ分くらいの好意を寄せてくれるかもしれない。
もちろん僕のあだ名はクロワッサンになるだろう。
「あ、クロワッサンがまた来たよ。」とささやかれることは覚悟しておいたほうがいい。
そしてあだ名が決定したころに、あえてあんぱんを買うのだ。
「クロワッサンがあんぱんを買っただと・・・」
レジであの娘は動揺するだろう。
震えるあの娘の手を握り、僕はこう言う。
「ほんとはあんぱんが好きです。でも君のことはもーっと好きです。」
目を閉じて、僕は祈る。
その時、店内のテーブルに腰掛けていた男たちが一斉に立ち上がり叫ぶ。
「ちょっと待ったー!」
彼らのあだ名がそれぞれカレーパン、食パン、ジャム、チーズであることを知ったのはずっと後のことだ。
しょうがないさ。
なんてったってあの娘は町いちばんの美人だ。
だからパン屋さんで働く女の子に恋した場合。
あきらめてこの町を去る準備をしたほうがいい。
そして次の町でまたパン屋さんを見つければいいのさ。
今日もパンの存在に感謝しました。ありがとう。
返信削除どういたしまして。(きのした)
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